| chamaさん、こんばんは。はじめまして。 『皮下輸液を続けていると 静脈点滴の妨げになる』というお話は、私も聞いたことがないです・・・。 今かかっている獣医さんがおっしゃるように、前の先生は、何かそういう経験をされたことがあるのかもしれないですね。 ただ、その先生のされた経験がどのようなものか分からないですけれど、あまり一般的なものではないように思います。 私のような獣医学の専門知識のない人間が言うのは無責任ですけれど、ぎゃおすを開設して6年、たくさんの猫さんのお話や経験を教えていただきましたが、 『「皮下輸液を入れていると、後から静脈点滴で入れた輸液が有効に使われない」つまり、併用が危険』というお話は初めてです。
皮下輸液と静脈点滴の違いは、chamaさんがお調べになったとおりと私も理解しております。 ちょっとだけ補足させていただきますと、静脈点滴は血管に直接、液を入れますので、脱水などには即効で効果があります。 皮下輸液は、皮下に溜まった輸液が体内の組織を通してゆっくり吸収されます。
腎不全の猫さんの場合、『命に関わるようなイザというとき』というのは、多くの場合、尿毒症か重度の脱水だと思います。 尿毒症は、おしっことして体外に排泄されるべき成分が血液中に濃く残ってしまっている状態。 脱水症状は血液および細胞内の水分が不足している状態です。 なのでどちらも、血管に直接、輸液を入れたほうが、皮下輸液のように吸収するという手間がないぶん、即効性があるのです。 (尿毒症は、静脈に輸液を流し込んで血液中の尿毒を薄め、少しずつでも尿として排泄させる。 脱水症状の場合は、水分は口から飲んでも皮下に入れても最終的には血液に取り込まれ体中に運ばれます。 どちらも血液中の水分が重要なのです)
そういう理由から、尿毒症や重度の脱水のような『イザ』の場合は、一刻も早く体内(血液中)に水分を入れる必要があるため、静脈点滴が選択されることが多いです。 皮下輸液は、動物が重篤な場合はあまり効果がないというよりは、『間に合わない』という感じだと思います。 それと、静脈点滴は血管が確保で切る限りは常に液を体内に流し込めますが(何日でも、ニンゲンなら何ヶ月でも何年でも)、皮下輸液はそうはいきません。 一度に体内に入れられる液の量には限界があるからです。
こう書くと、静脈点滴はいいことばかりのようですが、なかなかそうウマイ話にはならないこともありまして。 1・なにしろ血管にどんどこ輸液を入れてしまうので、血液の量が短時間で急に増えます。 血液量の急激な変化は、心臓に負担をかけることがあるので、心臓が弱い猫さんは注意が必要です。 2・血液の量は増えますが、輸液で水増しされている状態ですので、貧血になりがちです。 腎不全の猫さんは、それでなくても貧血になりがちなので、要注意です。 3・ほとんどの場合は、入院管理が必要になります。 で、多くの猫さんは、入院が大嫌いです。 自宅で静脈点滴を許可してくれる獣医さんは、ごくわずかです。 入院のストレスがひどい場合には、メリットとデメリットのバランスが、ハテナ?な感じになりがち。 4・猫さんが動き回らずに、じーっと大人しくしていてくれないとできません。 ケージに入ってもらっても、暴れて点滴の管を引きちぎってしまうようでは、危険が大きすぎます。 表現がアレですが、『身体に針を刺されたまま、じっと大人しくしているくらい体調の良くない猫さんにしかできない』という言い方もできてしまうかもです。
などなどの理由から、今すぐ輸液をじゃんじゃん入れなくては危険という場合以外は、皮下輸液が選択されることが多いです。 効き目はゆっくりだけれど、言い方を変えれば『穏やか』ということです。 入院の必要もありません。 脱水症状は、血液中および細胞の中の水分が不足している状態です。 通常は皮下輸液で維持し、イザとなったら静脈点滴というケースが一般的です(絶対ではありません。猫さんの体調、病歴、性格、環境、飼い主さんの都合、病院の方針などによって、選択はそれぞれです)
chamaさん、以前の病院では、皮下輸液はどうされていたのでしょうか? 自宅ではしていなかったけれど、通院でしてもらっていたのかな? もし通院で定期的に皮下輸液をしていたのなら、自宅での許可がでなかったのは、いくつか理由が考えられます。
1・その都度、猫さんの状態を診察してから、輸液をするという考えの先生。 全身状態を見て、輸液の量や添加するビタミン剤、その他のお薬などを決めるから。 責任感の強い、慎重な先生ほど、なかなか許可はでないかもしれません。
2・自宅ですることによって通院回数が減ると、体調の変化による治療のタイミングを逃す危険がある。
3・皮下輸液はコツを掴んでしまえば難しいものではないですが、猫さんの身体に針を刺し体内に輸液を入れるという医療行為です。 使用済みの針の管理もしっかりしなくてはなりません。 初めての病院で、いきなり自宅皮下輸液をしたいと言っても、却下されることも多いです。 獣医さんと飼い主さんの間に、ある程度の信頼関係がないと、先生としても許可することはできません。 (初対面で、あるいは電話相談だけで、二つ返事で許可してくれる病院も、それはそれで問題かもです) 非常に失礼なことを書いてしまいますが、先生との間の信頼関係が充分ではなかった・・・のかもしれません。 chamaさんと先生が、ということではないのです。 全ての飼い主さんに対して、自宅皮下輸液を許可するほどの信用をしない先生なのかもしれません。 上と重複しますが、それだけ慎重ということですけれど。
もし、通院での皮下輸液もされていなくて、静脈点滴が効かなくなるから・・ ということでしたら、すみません、分からないです〜。 長々と書いてしまったわりには、答えになっていなくてごめんななさい。
でもchamaさん、通常は自宅皮下輸液で維持してイザとなったら静脈点滴というのは、いちばん一般的と言えるくらいのものですし、その選択している獣医さん&飼い主さんは、とってもたくさんいらっしゃいます。 今の獣医さんが反対されていないのでしたら、よくご相談されて、選択肢のひとつとして検討されても悪くはないのではないかと思います。 不安なままでは自宅皮下輸液がchamaさんのストレスになってしまいますので、安心できるようなお話が聞けるといいですね。 猫さんとchamaさん、穏やかにのんびりと、長〜く長〜く、慢性腎不全とお付き合いしてくださいますように。 お祈りしています。
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