病気の経過と症状   

注》慢性腎不全の進行・症状は固体差が大きく、決まったパターンというものはないようです。
出現する合併症もそれぞれ。
以下は『いっちゃんの場合』で、慢性腎不全猫の一例であり、他の猫さん全てに当てはまるものではありません。

病気の経過と進行

病気の経過のダイジェストです。詳しい状態、治療などを知りたい方は日記のページへ。
ただし、長いです。ぐだぐだどうでもいいこともたくさん書いてあります。
時間と忍耐のある方のみどうぞ。

 2002年

5月21日 便秘で半日入院 浣腸処置
5月25日 食欲が落ち始めた お水はよく飲む
6月1日〜6月3日 慢性腎不全発覚 入院して24時間点滴
6月4日 コバルジン開始
6月8日・6月14日 日帰り入院で静脈点滴
6月19日 皮下輸液に切り替え 
8月9日〜8月11日 下痢 通院・輸液
9月24日 血液検査で肝臓の悪化が発見され、薬を飲み始めた。
9月25日 日帰り入院で静脈点滴
10月4日 肝臓の数値が下がったので、薬を中止
10月8日 目が見えなくなった、光への反応はあり
老化による軽い白内障も発覚
10月9日 高血圧の疑い
血圧を下げるために心臓の薬を開始。肝臓の薬も再開。
10月25日 右目、眼底出血
12月11日 おちんちんから鮮血
12月18日 数値は悪かったが、肝臓の薬を中止

 2003年

1月7日 血尿 膀胱炎
1月10日 血尿 
1月11日 半日入院で静脈点滴 肝臓の数値が悪化したため薬を再開 心臓の薬を中止
1月13日 血尿
1月14日 日帰り入院で静脈点滴 膀胱と腎臓のレントゲン&エコー検査 
痙攣発作2回
 眼振が出るようになった(高血圧が原因らしい)
1月20日 自宅で皮下輸液を開始
2月5日 血尿
2月8日 血尿 心臓の薬を再開
2月21日 血尿
2月25日 左目が腫れて赤い
2月26日 左目、眼底出血
2月28日 痙攣発作 自宅で静脈点滴開始
3月10日・11日 下痢
3月14日 静脈点滴を終了、自宅での皮下点滴再開
3月28日 左目の失明、確定 右眼は見えていないが光への反応あり
4月9日 おちんちんから鮮血
4月11日 左目が腫れて赤い
4月13日 肝不全の疑い 心臓の薬を中止 自宅で静脈点滴開始
4月19日 静脈点滴を終了、自宅での皮下点滴再開
4月22日 皮下輸液の注射跡が、炎症を起こすように
4月26日 排便のたびに軽く血便するように
4月30日 の疑惑が浮上
5月2日 右目が腫れて開かない
5月3日 右目、軽く眼底出血
5月4日 右目も光への反応がなくなり、両目とも失明
背中の炎症が悪化、皮下輸液ができなくなった
自宅で静脈点滴再開
5月5日 痙攣発作2回
貧血
が悪化
5月6日 輸血
右目の眼底出血、悪化
5月7日 夜中から早朝にかけて呼吸困難
5月11日 下痢
5月16日 静脈点滴を終了、自宅での皮下輸液再開。しかし炎症が怖いので1日1回だけ。
5月22日 痙攣発作
6月7日 心不全の発作を起こし、午前0時32分・「苦労のない世界」へお引越し。


腎不全に伴う症状について

高血圧
腎不全→高血圧→眼底出血→血圧を下げるために心臓の薬を服用→肝臓が悪くなる
→心臓の薬を中止→血圧が上がる→眼底出血・・・とエンドレスに繰り返すうちに失明
痙攣発作も高血圧から起こしたようです。

腎不全からくる高血圧が原因で、眼底出血・失明、肝臓も悪くなり、痙攣発作まで起こしました。
老齢のせいで軽い白内障があり、2002年10月には目が見えにくくなっていましたが、完全に失明したのは眼底出血を繰り返し、完全に網膜はく離を起こしたためのようです。高血圧は怖い。

なぜ腎不全で血圧が上がるのかは「猫・腎不全・血圧」などで検索すると、きちんと医学的に説明してあるサイトがいくつもヒットしますので、そちらを見ていただいたほうが正確です。不親切でごめんね。

猫は日本語をしゃべらないからよく分かりませんが、高血圧が原因で頭痛・めまい・不眠・動機・吐き気・食欲不振も起こるようです。

★血圧測定について 
かかりつけの獣医さんのお話です:半日預かって100回くらい血圧を測り、平均値を出します。しかし病院にいるというだけで血圧は上がってしまうので、正確な数値を出すことは難しい。
様様な症状・状態から、いっちゃんが高血圧なのは間違いないので正確な数値が出ても治療法が変わるわけではなく、こだわって測ってもいっちゃんの負担になるだけであまり意味はない。
・・・というわけで、ちゃんと測ったことはありません。

貧血 
腎臓から分泌される造血刺激ホルモン(エリスロポエチン)が少なくなり、そのため骨髄で生成される赤血球も少なくなり貧血になるそうです。

ケー 
老廃物の排泄が充分にできなくなり血液中に溜まると(尿毒症)、吐き気が起こりやすく食欲不振も起こします。

電解質の調整ができなくなる 
電解質には、ナトリウム(Na)、カリウム、カルシウム、クロール、マグネシウム(Mg)、リン(P)、などがありますが、これらのバランスが取れなくなり過不足が生じ、生命維持に重大な影響を与えます。

便秘 
いっちゃんはもとから便秘の王様なので変化は感じられませんが、腎不全治療薬・活性炭で便秘になる猫さんも多いようです。
いっちゃんは便秘で踏ん張りすぎて膀胱にも力が入り、膀胱内の毛細血管が切れて(年のせいで血管がもろくなっている)血尿
血管が切れたところが炎症を起こし膀胱炎と、数珠繋ぎに問題化してしまいました。

他にもいろいろな合併症・症状が出ますが、個体差があるようです。
いっちゃんはありませんでしたが、口内炎を起こす猫さんも多いようです。

その他の疑われる疾患・症状

甲状腺機能亢進症 
かかりつけの先生の「あるでしょう」という推測です。
いっちゃんの場合は、甲状腺機能亢進症があったとしても軽いもので、治療の優先順位としては腎不全が先。
特に甲状腺の治療はする必要がない・・・ということで、検査もしませんでした。

甲状腺の検査は簡単にできますが、もし異常が見つかっても治療はいっちゃんには難しいようです。
@薬:体力がなく内臓全体の機能が落ちている状態では副作用が怖い。
AX線治療:設備がある遠くの大きい病院まで行かなくてはならない。
B外科手術:問題外。

総合的に考えると、「検査してもしかたがない、放っておきましょう。」ということです。

★甲状腺機能亢進症について、ちょっとだけ
甲状腺ホルモン(新陳代謝を活発にするホルモン)が異常にどばどば出てしまう病気です。
新陳代謝が活発になりすぎる→細胞の酸素と栄養の消費量が増大→酸素を運ぶため、大量の血液を全身に送ろうとする→肺と心臓ががんがん働く・・・負担がかかる→燃え尽きる。
「燃え尽き病」と呼ぶ獣医さんもいます。

老猫さん(10歳以上)には、めずらしくない病気だそうです。
症状としては、元気で食欲旺盛なのに痩せていく、神経過敏で落ち着きがない、ちょっと運動しただけで、はあはあと苦しそうに呼吸する・・など、他にもたくさんあります。
心臓肥大・呼吸困難を引き起こすこともあるので、心配だったら老猫さんは検査(簡単にできるらしい)してもいいのかな。
しかし「元気で活発だから」「食欲があるから」など症状としては漠然としているし、やたら活発でよく食べると思えば、寝てばかりであまり食べなくなったり・・・猫の行動・様子ってころころ変わるから、分かりにくいかもしれませんね。

心臓に雑音 
腎不全が発覚して、初期の頃からあったそうです。
原因ははっきりわかりませんが、老齢からくる可能性が高いそうです。(他にも心臓に雑音が出る病気はいろいろあります)


細かい様子など

 2000年頃から、少しずつ痩せてきた。
一度、獣医さんに行ったが「猫も年を取ると栄養の吸収が悪くなるので痩せてきます。あまり太っているより骨に負担がかからないし、特に問題ないです。」と言われてそのまま安心してしまった・・。
もちろんそれも事実でしょうが、「やっぱりあの時ちゃんと検査していれば」という思いは捨てきれません。
今は違う獣医さんにお世話になっています。

 2001年後半頃から、毛が束になって割れてしまうようになった。
もう年寄りだから毛並みにも変化があるんだろうと軽く思っていましたが、脱水症状だったようです。

 2002年に入り、よくお水を飲むようになり、おしっこが臭くなくなった。
この時点でもまだ私は無知すぎて、病気に気が付かず。

 はっきり覚えていませんが、おそらく2002年の始め頃、口が臭くなったなあと思った。
これも腎不全の症状のひとつだったのに、私はそれでも何も気付かず。

 2002年6月後半から、涙が出るようになった。特にご飯を食べるとぽろぽろと出るように。

 2002年7月、ご飯を食べる時に顔を振りながら歯軋りのような音をさせるようになり、獣医さんで口の中を調べてもらいました。
口内炎などはなく、歯石が溜まってそれが擦れて音がするようです。
歯石のせいで軽い歯肉炎がありますが、まだ軽症で痛むほどではないので放っておきましょうということに。
歯石取りには麻酔を使う必要があるため、王様にはできないのです。

 2002年9月後半から、部屋の中でぼーっと突っ立ってることがあるように。
10月になってからはっきり気が付いたのですが、目がよく見えなくなって迷っていたようです。

 目が見えなくなってあまり動かなくなったら、急速に足腰が弱り始め、歩くのもよたよたしてきた。

 同じ頃より、ご飯の食べ方がへたになった。
特にかりかりは口に入れようとしても、ぽろぽろこぼれてしまい、なかなか食べられない。
砕いたら食べやすいかと思いやってみましたが、かえって食べなくなった。

 2003年になってからは、ほとんど全く王様シェルター(猫こたつ)から出なくなった。
いよいよ足腰、よたよたです。

 2003年に入り、もうよっぽど薬を飲まされるのがいやなのか、口回りを触られるのを異常に嫌うようになった。
ちょっとでも触ろうとすると、かうっかうっと口を大きく開け閉めしながら頭をぶんぶん振る「かうかうぶんぶん」をやるように。
全然触っていないときでも、たまにやることがあります。

 2003年2月頃から、お水を飲むのがへたになった。
びっちゃびっちゃと音は盛大に立てるのだけど、あまり減っていない。
しかも下あご全体をお水につけてしまうため、いつもびしょびしょ、水もしたたるいい男。

 同じ頃より、物忘れがひどくなった。
猫こたつから30cmでトイレなのに、猫こたつを出たとたん、すぐ横の王様ご膳(ご飯置き場)に気を取られ、くんかくんかと臭いをかいでいるうちにトイレのことは頭からふっ飛んでしまうらしく、そのまま猫こたつに帰る。
4〜5回もそれを繰り返してからやっとトイレにたどり着き、おしっこ。30cmが果てしなく遠い道のりに。

 やはり同じ頃に気が付いたのですが、体温調整ができなくなって変温動物になりました。
気温が高いと体温が上がり、寒いと体温も下がります。
王様シェルターの細かい温度調節が家来の必須仕事リストに加わりました。

 2003年3月頃から、ご飯を飲み込む時に「ごっくん」と大きい音がするようになりました。
おやじがビールを飲んでるみたいです。喉の筋肉が落ちて飲み込みにくくなっているのでしょうと獣医さん。

 2003年4月頃より、口の中にご飯をしまっておくように。
なぜ、飲み込まないでほっぺの中に入れっぱなし?非常食?遭難する予定でもあるんでしょうか。
おまけに口の周りもご飯のカスだらけ、でもまったく気にしない、拭こうとすると怒る。
食べかすがついていてもかわいいけど、それが腐ったり雑菌がわいたりで身体にも口中衛生にもよくない!と思う。

 2003年5月に入ってから、おしっこや口の中、体臭が独特の匂いになりました。
ずっと飲み続けている薬を薄めた匂いです。

 同じ頃より、だいぶ顔の筋肉が落ちて顔が変わってしまいました。

 同じく2003年5月より、涎が出るように。
水あめみたいに粘度のある、拭こうとしてもびよ〜んと伸びてなかなか拭き取れないような、透明の涎。
治まっているときもありますが、体調が悪いと出るようです。


検査のススメ 〜 おせっかいながら

猫さんが「今までどおり食べているのに見て分かるほど痩せてきた・やたら水を飲む・おしっこの回数が明らかに増えた」等の様子に気が付いたら、病院へ行こう!
特に老猫さんは、丸一日以上食べなかったら病院へ
血液検査をすれば、腎不全以外にもいろいろなことが分かります。

検査して何でもなければ、それが一番いいことで、「ああ、よかった」と心の平安が得られます。
何か見つかったとしても、どんな病気でも早期発見・早期治療は、猫さんにも飼い主にも(いろいろな意味で)負担が軽くなります。

神経質になりすぎるのは、良くないと思います。
しかし老猫は免疫力も落ちていて、ちょっとしたことで体調を崩しやすいので、若猫さんより気をつけてあげる必要がありそうです。

私は、いっちゃんの食欲が落ちてから1週間も獣医さんに連れて行きませんでした。
もしもっと早く検査していれば・・・。今、悔やんでもどうにもならないことです。
その間いっちゃんは、しんどいのを一人でただじっと耐えていたんです。腎不全もかなり進んでからの治療開始でした。
他の猫さんには、そんな辛いことがないように・・・おせっかいながら、そう願っています。



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