王様伝記

出会い:1983年6月中旬、渋谷の明治通り沿い、地下の狭くてボロい、うなぎの寝床のようなバーのカウンターで、友人が酔っ払ってる私(未成年だった。もう時効)に言った。「うちの猫が子供産んじゃってさ〜。一匹いらない?」私は即座に「いらない」と答えた。猫は大好きだし、いつか飼いたいと思っていた。夢といってもいいくらいだった。しかし当時の私は、ほとんど家にいない生活。面倒が見られない。しかし友人は粘った。よっぽど困っていたらしい。「いいじゃん。好きなら大丈夫だよ。」
私 :「・・・・・。かわいい?」
友人:「かわいいよ!」
私 :「・・・じゃ、もらおうかな・・・」
友人:「オスとメス、どっちがいい?」
私 :「メスって子供産むんでしょ?」
友人:「うん」
私 :「増えるよね」
友人:「うん」
私 :「じゃ、オス」
友人:「わかった。オスね」
私 :「どんな模様?」
友人:「茶色。普通だよ」
私 :「ふう〜ん。・・・ねえ、ほんとにかわいい?」
友人:「かわいいよ!」

およそ、それだけの会話で契約成立。子猫が一匹、親兄弟と引き離されて、埼玉の生家から横浜の私のぼろアパートにくることになった。詳しいことは何も分からなかったが、特に気にしなかった。
ちなみに、契約が成立したこの記念すべきバーのオーナーは、おかまでホモ。店員は髪の毛が腰まであるような、化粧栄えのするお兄さん達だった。しかし店自体はホモバーではなく、普通の汚い飲み屋です。化粧栄えの店員も、おかまではなくバンドの人。

1983年7月1日、新宿駅(もしかしたら池袋駅。記憶が定かでない)のホームに話は飛ぶ。
友人は「ほれ」と言って紙の箱を私に手渡した。中を覗くと、目がでかくてまん丸の、茶色と白のトラ柄の子猫がごにょごにょ動いていた。顔を見た瞬間、理性が吹っ飛んだ。・・・かわいい〜!!!もういきなりメロメロでデレデレになった。
こうして私の幸せな猫生活が始まり、子猫にとってはサバイバル生活が始まった。

・・・続く・・・・