加圧帯を使った皮下輸液の方法です。

加圧帯とは

加圧帯とは、シリンジを使わずに輸液パックから直接輸液する場合、パックに圧力をかけて早く液が落ちるようにするためのものです。

メリット

1):輸液にかかる時間が短縮される。

2): パックを両手でぎゅうぎゅう絞る必要がないため(絞らないと、パックを高い場所に吊り下げていても液が落ちるのがゆっくりなため、終了までに時間がかかります。)、手が自由になり、猫さんを撫でたりしながら輸液できる。

加圧帯の画像・インフュサージ

加圧帯1

情報提供者:雨さん
(パスワードはpekechoro)

製品名: インフュサージ

製品詳細ページはこちら

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加圧帯の画像・メディクイック
加圧帯テルモ1 情報提供者:らみさん

製品名: メディクイック

テルモの加圧器です。
上のインフュサージと同じく人間用ですが、動物にも使われています。

テルモのホームページ

加圧帯テルモ2

正面の画像

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デメリット

デメリットとしては、輸液パックが加圧帯で覆われてしまうため、どのくらいの量が減ったのか分かりにくいそうです。

裸の輸液パックでも、絞って直接入れる場合は、数字が読みにくいような気がします。
加圧帯を使っていない場合でも、以下の対策は有効かも。

対策1)時間を計って、おおよその輸液量を把握する。
このページのちょっと下、加圧帯の操作の部分が参考になるかも。

対策2)手秤(てばかり)を使って、重さを量りながら入れる。

手秤を併用して輸液量を測る

手秤には、アナログとデジタルがあります。
使用された方のお話では、デジタルのほうが断然に便利だそうです。

↓は、楽天から無断でパクってきた画像。

アナログ手秤 デジタル手秤

アナログ手秤

デジタル手秤

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加圧帯を使った輸液・実践編

@隙あらば逃げようとする猫さんの場合

モデル:チョロちゃん@雨さん

◆ セッティング

ドアに引っ掛けるタイプのコート掛けに引っ掛けた、輸液パック+加圧帯セット。

この輸液セット+翼状針5コで税込6820
(2005年5月の価格です)。

一人がけソファにネコベッド設置。
アルコール綿とサージカルテープを準備。

アルコール綿は消毒するためというより、毛をぬらしてかき分け易くするため。
(うちの先生は、毛をかき分けることすらしません。)

輸液中:かみついちゃろーか考え中。
テープはこんな感じ。
テープ留めは、逃げる気満々の猫さんが輸液中に動いたときに、針が抜けないようにするためです。

◆ 加圧帯の操作

加圧帯をどういうふうに使って(操作して)いるのかは、
自宅皮下輸液・ムービー3・輸液パックから直接+加圧帯を使用した皮下輸液
でご確認ください。

ムービーではモデルを変えて、ペケペケちゃん@雨さんになっています。

ライン

ムービーを見ますと、加圧帯を使用すると両手でぎゅうぎゅうとパックを押さなくて済むので、手がずいぶんと自由に使えることがよく分かります。

◆ 雨さんへ、加圧帯を使った皮下輸液について、いくつか質問しました。
以下、そのQ&Aです。


Q1):一回につき、どのくらいの量の輸液を入れますか?

A1):1回100ml-150mlという、ものすごいアバウトさ…。
1回何ml、というよりは、500mlの輸液パックを4回に分けて入れる、って感じです。


Q2):輸液をしているときに時計を見ていましたが、時間を計って輸液の量を調節しているのだと思うけど、何分間、計っているの?

A2):計る時間は、 輸液パックの残量や針の刺さり具合で液の落ち方が微妙に違うんですが、

新しい輸液パック1回めは2分〜2分15秒、
2回めと3回めは2分半〜2分45秒 (前回の入り具合をパックの目盛りでなんとなく確認して調整。)。
最後は全部入るまでで、時間計測していません。
ラインまで空になるのを待つので、時によって4分ほどかかる時があります。


Q3):輸液中の、どこからどこまでの時間を計っているの?

A3):針を刺して、ラインを開けたら時間計測スタート →
それから針の入り具合を確認 →
しゅぽしゅぽ(加圧帯を握っている音です) →
圧固定(しゅぽしゅぽしたあと、「送気/脱気」つまみを「維持」位置に回すだけ。) →
時間が来たらライン閉める →
針を抜く →
消毒綿で針跡圧迫 → ペケペケ解放 → 加圧帯の圧を抜く。

という感じです。
つまり、通常の2分半とは、
ラインを開けて液の自然滴下が始まってから、ラインを閉めて液の滴下が止まるまでです。

最初から圧をかけないのは、穿刺後、いきなりびゅるる〜んっと液が入っていくと、ペケペケがすごく嫌がるからです。


Q4):けっこう腰のほうに針を刺しているようですが?

A4):以前、肩甲骨あたりで輸液をしていたら、前足にすぐ落ちてしまって、24時間経っても吸収されないようになってしまいました。

獣医に相談したところ、
『痛点は肩甲骨のあたりより腰に近いほうが多いのだけれど、毛細血管も多いので、輸液が早く吸収されるます。』と言われ、腰のほうに入れることにしました。
もう輸液を吸収できないほど悪くなっているのかと、相当ビビったんだけど、腰のほうに入れるようになってからは、ちゃんと吸収されるようになりました。

(雨さんのブログはこちら。パスワードは「pekechoro」です。)

加圧器を使用しないで加圧する方法

情報提供:らみさん

◆ 輸液パックに空気を注入

250CCぐらいの輸液パックで、7〜10日以内に使い切るような場合でしたら、空気抜きの長い針がついていると思うので、その長い針と、大きなシリンジを使い、輸液パックの中に空気を結構何回も入れるのです。
輸液パックがポンポコリンになる感じにすると、中に入った空気の圧力によって輸液が素早く皮下に注入することが出来ますよ。
(うちの動物病院さんもこの方法)

ソルラクトとや生理食塩水なんかだったら、中身は食塩水だから空気に触れても雑菌は繁殖しづらい環境だとは思うけど、念のために冷蔵庫で管理しつつ、早めに使い切るのが前提ね。
(獣医さん曰く、輸液をネコさんが飲んでくれるのならそれでも脱水は緩和されるので良いですって言われたので、輸液なめてみたの、結構しょっぱいのよ!!こんなの飲めるネコ居ないって。^^;)

輸液にビタミン剤を混ぜて使う場合があるけど、これも冷蔵庫で管理しても1週間が限度らしい。
(ちなみに、輸液にビタミン剤混ぜるとネコにはしみるらしい。)

◆ 血圧計を流用

加圧器は、人間の腕でやる血圧計と仕組みは同じだから(シュポシュポ)、家に家庭用の血圧計があれば代用できると思うよ。
ただ、血圧計はメッシュになってないので輸液パックの目盛りが見えないという欠点があるので、例えば250CCを2回で使い切るとしたら最初の1回目はシ リンジで空気入れて素早く点滴して、2回目の残り分量なら目盛りみる必要はないわけだから、そしたら血圧計ごと鴨居にぶらさげて素早くやるとかね。

ネコさんにとって輸液は楽しい時間ではないから早く終わらせて
あげたいですもんね。(*^^*)


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